最近のネパール情勢と日・ネパール関係

卓話の世界

最近のネパール情勢と日・ネパール関係

在ネパール大使館
特命全権大使
小川 正史 様

 1.ネパールは、北海道の約1.8倍の大きさの内陸国であり、北を中国、東西南をインドに接する。国土の83%が山岳地帯で、北はエベレストなど8,000メートル級の山が連なるヒマラヤ山脈、南には海抜60メートルのタライ平野がある。人口は約2,700万人で、100以上の異なった民族が暮らしている。
 2.経済的には、一人当たりGDPが約752ドル(日本の50分の1)で、南アジアの最貧国である。農業と観光以外に目立った産業がなく、失業率が高いため、300万人以上の人が海外に出稼ぎに出ている。宗教はヒンドゥー教と仏教が主流で、インドの文化的な影響が強い。
 3.日本とは1956年に国交を樹立した。伝統的な親日国で、皇室と旧王族、山岳関係者など重層的な交流を有する。現在、約6万人のネパール人が日本に滞在している。日本との経済関係は低調で、貿易は恒常的に日本の大幅な出超、日本からの投資は、今のところ45件しかない。これまで、日本政府とJICAは、交通、電力、教育、医療など広範囲にわたって経済協力を行ってきた。
 4.2015年4月25日、カトマンズの西北部でマグニチュード7.8の大地震が発生し、約9,000人が亡くなり、60万戸以上の家屋が全半壊した。日本政府は、直ちにテント、毛布などの緊急支援物資を送り、延べ264名の救援隊、医療チームを派遣した。また、国連を通じて約16.8億円の緊急支援を行った。大使館では、地震発生直後に緊急連絡本部を立ち上げ、邦人の安否確認、避難場所提供などの作業を行った。
 5.6月25日、カトマンズにて50以上の国、国際機関の代表が集まって、ネパールの地震復興のための国際会議を開催した。日本政府は城内実外務副大臣を派遣し、インド、中国に次ぐ2億6,000万ドルの支援を約束した。
 6.地震から約2年が経過したが、ネパール政府による復興は始まったばかりである。日本政府、JICAは、被災者の住宅再建、学校の補修、被害を受けた公共設備の補修をサポートしている。
 7.これまでネパールでは、政治的に不安定な状況が続いてきたが、この地震を契機に全政党が一致協力して復興に当たるという機運が生じた。その結果、2015年9月には、国民が待望していた新たな民主憲法が制定公布されたが、インド系の一部少数民族がこの憲法に反対し、激しい抗議運動を起こした。この少数民族を支援するインド、国境の治安悪化を理由に貿易を制限したので、ガソリンや調理ガスが払底し、人々の生活は大きな影響を受けた。
 8.本年8月、新たな内閣が成立し、憲法実施体制の構築、地震からの復興などを目指しているが、政治的な混乱は依然として続いている。日本政府は、ネパールの民主化と社会経済的発展のために、さらに支援を継続する考えである。

(以上)

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