卓話の世界

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卓話 2021年9月2日

窓ぎわのトットちゃんから始まった学校づくり

藤田
 箕面こどもの森学園 校長 藤田 美保 様

 私が、黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」に出会ったのは、小学校 3 年生のときでした。高校生のいとこに遊んでもらいたくて、いとこの家に遊びに行ったけど、いとこが不在で、「本でも読んで待っていよう…」と思って、たまたま選んだのが「窓ぎわのトットちゃん」でした。

読み進めるうちに、私は、黒柳さんが通うことになった「変わった学校:トモエ学園」にドンドン魅了されていきました。子どもであるトットちゃんを対等な人として認めてくれる校長先生がいて、電車の教室で、自分の好きな科目から勉強してもいいなんて! 

 感激した私は、「トモエ学園みたいな学校に行きたい!」と両親に懇願をしましたが、40年ぐらい前の田舎で、そんな学校が見つかるはずもなく、その思いが叶うことはありませんでした。大学を卒業して公立学校の教員として働いていたとき、学校の制度や体制に対して、いろんな違和感
をもつようになりました。そんなとき、思い浮かんだのが「窓ぎわのトットちゃんみたいな学校」でした。「自分は通うことはできなかったけど、創ることはできるんじゃないか…」次第にそんなことを考えるようになり、今から約20年前に、今の仲間たちに出会い、一緒に学校を立ち上げることにしました。

 私たちが創った学校は、「箕面こどもの森学園」というオルタナティブスクールで、2004年に開校しました。産業社会に適応するための人を育成する教育ではなく、人間の自然な成長を支援するための教育を行っています。

 現在は、小 1 ~中 3 までの約70名の子どもたちが通ってきてくれています。子どもたちの個性を尊重し、子どもたちが自分の学びを自分で決めて行くことができるカリキュラム対話を重視した時間、持続可能な社会の担い手を育む教育であるESDをとりいれているのが特徴です。

 学びの方法には、大きく分けて 4 つあり、基礎的なことを学ぶ基礎学習、自分と世界や社会とのつながりについて学ぶテーマ学習、新しいことにチャレンジする選択学習、自分の興味・関心を伸ばすプロジェクト学習があります。体育祭や夏祭りなどの学校行事も、子どもたちの自治活動によって運営され、修学旅行についても、子どもたちが話し合って行先や内容を決め、必要な費用もフリーマーケットやお祭りへの出店などをして子どもたち自身で集めています。

 2020年には、法人名を「コクレオの森」と改め、他業種の方々とも一緒に望むミライを共に創ることをめざしています。今後は、廃校などを利用し、ESDの学校のある民主的で持続可能なまちづくりを進めていくことを目指していく予定です。

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