石炭を使わず、今の文明をどう維持するか 素材面からの提言

卓話の世界

石炭を使わず、今の文明をどう維持するか
素材面からの提言

NAK技術コンサル
東 隆行 様

石炭、石油、天然ガス等の化石資源は、火力発電に代表されるエネルギーの創出のための原料という形で認識されているが、これらの化石資源は、エネルギー創出という側面だけでなく、現代文明を支える素材の創出のための原料という側面を併せ持っている。その中でも、石炭はCO2排出の元凶として最もやり玉にあがっているが、同時に、近代文明の主素材である「リサイクル鉄」、「アルミ製造」、「タイヤ用原料製造」のための基盤原料を創出するという重要な役割を有している。
化石資源から創るエネルギーと素材との量的なバランスが、現在とれているが、これまで文明を牽引してきた鉄鋼業の変化により、今後このバランスが崩れることを予想した。
実は、上記3素材は、コールタールを起源とする炭素素材を利用して製造されている。コールタールは、その名の通り、石炭を起源とする物質であり、高炉法による製鉄プロセスにおけるコークス炉にて副産物として製造されている。
ところが、今後の鉄鋼業は、コークス炉を必要としない電炉法の増加とCO2削減のために水素等を用いる還元製鉄法へのシフトにより、コールタールを生み出さない産業へと変わっていくことが予想される。
一方、リサイクル鉄製造用の電炉に必要なニードルコークス、アルミニウム製造用の炭素電極、タイヤ原料のカーボンブラックという炭素素材の需要は、世界人口の増加と新興国の経済的発展等により、ますます高まると予想されるので、コールタールの需給バランスが崩れると読んでいる。
解決策としては、鉄鋼業に依存した石炭ベースの原料体系からの脱却というパラダイムシフトを起こすことである。コークス炉からのコールタールに代わる、バイオ原料からのバイオタールを既存の体系に組み込むことを提案する。この基本技術となるのは、温故知新の石炭利用技術である。過去のオイルショック時の対応で加速された、原油に頼らないエネルギー創出法として日本がこれまで研究、蓄積してきた、石炭液化技術、石炭ガス化技術等の石炭変換技術がバイオ原料の変換技術に適応できる。ただし、コールタールに比較するとバイオ原料は、芳香族性が低いというデメリットを有するため、変換において工夫が必要である。報告では、バイオマスに、芳香環を有する廃プラスチック等を混合した実験例((株)KRI)を紹介する。地球からの贈り物である、複雑な炭素の集合体である石炭をより有効に利用すべきである。

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