2018年版【働き方改革】具体的解説

卓話の世界

2018年版【働き方改革】具体的解説

オフィスhint link代表
ワーク・ライフ・バランスコンサルタント
槙本 千里 様

最近よく目にする「働き方改革」の本質的な目的は「日本の生産性を上げる為」です。
具体的取組手法としては、①残業規制(当初はたとえ持ち帰り残業になったとしても、効率化は進む)②業務の見直し・省略化(何の為の作業か突き詰めて考え、業務の減量化を図る)③勤務時間帯の多様な選択を可能に(働く時間の融通・フレックス制度や時短勤務)④テレワーク=在宅勤務の推進(働く場所の融通。大災害時にも業務が滞らないメリットも)⑤ワーク・ライフ・バランスに対する活動を評価項目に取り入れる(有休・育休取得実績など)等が挙げられます。
これらは今から20年前には必要が無かった取組みです。その理由は何かと言うと、日本の人口構造の変化があります。1960~90年代までの日本は「人口ボーナス期」と言われる人口構造が経済にプラスの時期でした。具体的には、生産年齢比率が高くて高齢者比率は低く、社会保障費が嵩まない状態です。安い労働力が大量に使えインフラ投資が進み、爆発的な経済発展をしました。しかし日本はその後出生率が下がり少子高齢化に転換。日本の人口ボーナス期は約20年前に終了したのです。(現在人口ボーナス期の国は、中国・韓国・シンガポールなど)一度人口ボーナス期が終わった国には、二度とボーナス期は来ない、と定義されており、日本が再びこのような環境になる事は望めません。
そして日本は人口オーナス期と呼ばれる人口構造が経済の重荷になる時期に突入。(オーナスとは重荷の意)日本は主要国で最も早く少子高齢化が進行しました。典型的な問題は労働力人口の減少と、働く世代が引退世代を支える社会保障制度の維持が困難になることです。人口ボーナス期の手法を続けると逆効果を招く為、新たな「働き方改革」での取組みが有効とみなされ、日本中で働き方改革旋風が起こったのです。
<人口オーナス期に経済発展しやすい新しい働き方、3つの手法>
①なるべく男女ともに働く 経済発展後は筋肉を必須としない頭脳労働の比率が高い為、使える労働力は年齢性別問わずフル活用して働き手不足をカバーする。「一億総活躍社会」と銘打って、女性活躍推進法が実施されたのもこのためです。
②なるべく短時間で濃く働く 時間当たりの人件費が高騰しているので、体力に任せて長く働かせず短時間で成果を出せるよう徹底的にトレーニングする。(男性も介護を抱える時代になり、労働に割ける時間減少時の対策にもなります。)
③なるべく違う条件の人を揃える(多様性=ダイバーシティ) 市場は均一な物に飽き、多様な価値や高付加価値型が求められています。意思決定層が均一なままでは死角も一緒になり、危険度が増します。育児中・介護ケア中・闘病中・障がい者・LGBT等を障壁にしない職場環境作りこそが、多様な価値観を自分ごととして受け入れ、各所でイノベーションを生むでしょう。特に、意思決定層(管理職)まで人材多様性を内包し、フラットに議論する事が経営戦略として必須に。多様な人材と共に働く為には、職場環境の整備をすることで可能になります。実は2014年以降、育児で休む女性の数を、介護で休む男性の数が超える企業も増えているのです。「わが社は男性が大多数の職場だから、誰も休まず定年まで働き続けて貰える」と安心してはいられない時代になったのです。
働き方改革は、企業のTOPが心底腹落ちすれば軽快に進みます。家族同然の大切な従業員の皆様との働き方改革で、時代の変化対応出来る職場の変革を目指して頂けましたら幸いです。

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