ガンバ大阪の復活と 市立吹田サッカースタジアム建設の軌跡

卓話の世界

ガンバ大阪の復活と
市立吹田サッカースタジアム建設の軌跡

㈱ガンバ大阪 代表取締役社長
野呂 輝久 様

 ガンバ大阪は2012年に初めてJ1から降格した。J2での戦いは想像以上に厳しく、当初は勝ち切れない試合が続き苦闘した。しかし従来の攻撃的パスサッカーに守備力を強化することや若手の起用でこの難局を乗り切り、一年でJ1に復帰した。
 翌年J1での前半戦も16位と低迷したが、W杯の中断期明けより連勝を重ねリーグ優勝を9年ぶりに果たす。それに加え山崎ナビスコカップ、天皇杯も制して奇跡の三冠を達成した。
 降格の真因は1シーズンで2度に亘る監督交代と10年間同一指導体制の成熟にあった。経営的には前年より5億円減収となり、クラブ始まって以来の経営危機に陥った。この降格から復活の軌跡をチーム再編と経営的側面から併せて解説する。
 2010年3月よりスタジアム建設募金団体を設立。2012年4月より募金活動を開始し、個人・法人から募金を140億円集め、完成したら吹田市に寄贈するプロジェクト。当初は告知が十分に進まず、チーム成績も下位に低迷した状態で募金活動も苦戦した。募金開始と共に吹田市による環境アセスメントも開始し、17ヶ月に及び、委員会に答申した。交通問題、騒音・振動問題、緑化問題など近隣住民に関る諸問題とその解決策を有識者による部会で検討し、近隣住民に説明会を実施。
 また建設中の課題として、建設予定地から戦時中の海軍弾薬庫跡の空洞が出たり、資材・労務費用が2割程度急騰してその対応に追われつつ、募金活動は困難を極めた。募金だけでは目標を達成することが出来ないため、国の助成金も申請を行い、日本スポーツ振興センター、国土交通省、環境省から約35億円の助成金を獲得。3ヵ年に及ぶ地道な企業訪問により721社から99.5億円を頂いたのが大きな資金源。2014年後半にチーム成績が上がってきたのと期を一にして募金も集まり、個人募金を34,600名の皆さんから6億2,200万円頂き、合計140.8億円を集めきった。まさにみんなの熱い思いが募金という形になり、それが夢のスタジアムの実現となった。このスタジアム募金活動と建設の課題解決の軌跡を具体的に解説する。
 2013年12月より着工したスタジアムは2015年9月に竣工、2016年2月にこけら落としを行い、3月より本格的な稼働に入った。
 みんなの思いで完成した市立吹田サッカースタジアムの力で地域を活性化し、ガンバ大阪も収益を拡大して、アジアのビッグクラブを目指す。

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