卓話 2018年08月09日

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将来グローバル市場で生き残るためには!!


ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
前相談役 中澤 一雄 様

要旨
 1)米国社会の効率の良さ
 2)米国社会の人事制度は成果主義で生産性が高い
 3)現状維持が一番のリスク

1)米国社会の効率の良さ

・サンフランシスコ市内へ入るのに3本の有料橋が有る。しかし、料金所は市内に入る所のみで、出るときは無い。こうすることにより、入るときに料金を倍徴収しておけば、帰りには料金所がない為、混雑しないし、人件費も節約できる。

・マンション、アパートには電気、ガス、水道、の各戸の子メーターがなく全使用料を管理費で徴収する。これにより各戸の検針の人件費が省け、各室に細かく配管する必要がなく、メンテナンスがし易い。トイレ、風呂、キッチンなどの配管は上層階から下層階まで一気通貫である。

・宅急便は受け取りサインが必要ないため、留守の場合は玄関の軒先に配達人が置いて帰る。
(日本の場合は30%が再送になっている。もし治安の良い日本で盗難されたとしても、殆どが5,000円未満で、アマゾンの商品であれば保険で処理をすれば良い。)従って日本の場合は人件費がかかって値上げに繋がる。

・マクドナルドの場合、必ずヒューマンエラーがある為、売上の0.1%まで現金差は許容範囲。銀行でも現金差異は認められている。その為1円、10円の差異が有っても残業して探さない。
(これらの積み重ねで日本の生産性が低く、効率が悪い。)

2)米国社会の人事制度
 日本の3悪は、

・新卒採用 — 米国は生産性が無い新卒を採用しない。ポジションが空いた時のみ、そのポジションに合う人を採用する。
米国企業は新卒の一括採用はせず大学2年生の夏休みから入社希望の会社の希望部署でインターンとして無給で仕事を覚え卒業時に希望のポジションが空いていれば入社出来る。したがって採用企業は即戦力として使え入社したインターンも会社の社風を理解している為、入社してのボタンのかけ違いを防げる。

・年功序列 — 日本の場合、中間管理職が多すぎる。米国はヒエラルキーが少ないため、決断が早く、上のポジションになればなるほどジョブサイズが大きくなるので忙しくなる。(日本とは逆。)
また外資の例として部長売り上げ規模50億ー役員にレポート、課長30億ー役員にレポートの組織で部長の下に課長を置かずそれぞれのジョブサイズを決めているので会社の売り上げが伸びない限りポジションは増えない。この場合課長が部長になりたければ自分で50億の売り上げを上げ様とするので企業も売り上げが上がり両方でWin-Winになる。

・終身雇用 — 米国では企業業績が悪くなると合法的にレイオフ、リストラができる。(日本では早期退職で良い人材から辞めていく。)
また、人事評価は成果主義−目標未達の場合、ボーナスは無い。
米国企業では例えば55歳での役職定年はない。人事評価の低い社員はその年齢まで生き残れない。また米国では老人差別になるので定年はない。
したがってこの日本の人事制度3悪は戦後の高度成長期にはワークしたが1990年代のバブル崩壊後の低成長にはワークせず、生産性が下がり同業種で日米の会社の利益率を見ると日本企業の利益率は米国の半分で、社員の年棒も半分で有る。
早く日本企業も転換しないとグローバルでは勝てない。

3)現状維持が一番のリスク
 ゲームチェンジャーになれ。