米山奨学生カウンセラーを終えて

米山奨学委員会

米山奨学生王采蓁さんのカウンセラーを終えて

吹田ロータリークラブ 上本 博

2022年4月7日に開催された「米山奨学生オリエンテーション」が、王采蓁(おう さいしん)さんとの出会いだった。来日前に一生懸命勉強したであろう日本語での挨拶は素晴らしく、明るく真面目な印象であった。私自身、奨学生と接するのはこの日が初めてで、少しばかり緊張感があったが、彼女も相当緊張していたと思う。

私は、ロータリー歴28年目に入り、奨学生のカウンセラーを初めて経験することとなった。どのように接していいのか分からないままの不安なスタート。しかし責任は重大。今までの長いロータリー活動にはない未知の世界だった。まず奨学生の大学院での就学が第一、そしてロータリーの諸行事に参加してロータリーの奉仕の精神を理解してもらい、会員との親睦を図ることを心がけた。

私の不安もよそに奨学生の王さんは、すぐに日本の生活にも慣れ、私たち夫婦にも本当の家族の様に思ってくれた。それが何よりも嬉しかった。私たち夫婦も、『あなたは、私たちの六番目(私たちには5人の子供がいる)の娘や』と何度も笑顔で伝えた。

ロータリークラブの会員から阪神甲子園球場の入場券を頂き、三人で野球観戦、「阪神ファンではないけど(私たち夫婦に合わせて)今日だけは阪神ファンになります。」と言ってかき氷を食べながらの観戦、子供のように楽しんでいた。試合後は球場の店舗で買い物、台湾のお父さんに野球のボールをプレゼントするということで買い物を楽しんでいた。その後私は地区行事で別行動、妻と王さんは百貨店に行き食事をしたとのことで、妻には、心配事を打ち明けたりして、まるで母と娘のように溶け合っている。会員からは、「本当の家族みたいやな」と言われて心からうれしかった。

月を重ねるごとに、毎回の例会での挨拶が段々素晴らしくなっている。内容も素晴らしく、ネイティブな日本語になってきた。コミュニーケーション能力はもとより奉仕についての精神も分かってきたようで、クラブの会費の徴収の手伝い、また先日は、大阪北ロータリークラブの創立70周年の式典、パーティーの二日間に亘る行事にも通訳として奉仕するまでになった。

様々なクラブ行事等(春の家族会、忘年家族会、吹田RACへの例会参加ーその後入会、我がクラブだけの行事でテーブル仲間の集い、例会開始前の例会場内のスペースの喫茶コーナーでの会員との談笑、例会後の同好会への参加等)にも積極的に参加し、クラブの会員から信頼され愛されている。また、例会時に来客のようにアテンダンスカードを胸につるのではなく、会員と同じネームプレートを作ってもらい会員と同じ扱いになっている。

ロータリーへの理解度も素晴らしく、吹田RACにも会員として入会し現在も活躍している。卒業後は、日本の企業に就職が決まっており、本人は今後「国際交流をし、ロータリーで学んだことで社会に奉仕し、世界中に貢献したい。」と語ってくれた。10ヶ月前の彼女に比べて今の彼女の成長には目を見張るものがあり、米山奨学事業の偉大さにあらためて感動した。

日本には数多くの奨学事業があるが、ロータリーの米山奨学事業こそがグローバルな人材育成、世界との架け橋になれる人材育成の役割を果たしているとの認識を持った。カウンセラーをしたお陰で世界におけるロータリーの真の役割が分かりかけてきた。

米山奨学生の制度がなければ、米山の事業に参加しなければ、またカウンセラーとして関与しなければ分からなかった世界だった。米山奨学事業を通じてロータリアンと奨学生が素晴らしい絆で結ばれたことが何物にも代えがたいものとなった。

これからの私のロータリー活動に多大な影響を与えてくれた。米山奨学事業は、ロータリーだけでなく、日本の未来を変えて行くと強く確信した。

地区米山奨学委員会、関西米山学友会、奨学生を支えていただいたメンタ―の方々、そして米山奨学生・王采蓁さんに心より感謝を申し上げます。

ありがとうございました。

以上

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