卓話 2020年01月30日

過去の卓話一覧はこちら 

ビジネスに活用する!
令和の時代における論語と算盤


論語普及会理事
豊中稲荷神社権禰宜

辻田 充司 様

『論語』が日本人に受け入れられたのは何故か?
 人は過去に経験し馴染みあることは、比較的素直に受け入れられます。日本人が抵抗感なく『論語』が受け入れたのは、日常の行動規範との親和性があり、「そうそう言葉化すればその通り!」と未知の智慧ではなく納得できたからです。
 企業や諸団体の価値判断の尺度として創立後の年数がありますが、『論語』は、主に孔子と弟子との会話が20篇約500の章句にまとめられた、2500年も読み継がれているベストセラーです。
 『論語』開巻第一章は小論語といわれる核となる章句です。「子曰く、学びて時に之を習う、亦説(よろこ)ばしからずや。朋遠方より来る有り、亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや。」これは学習のことです。“時に”は「必要に応じて」という意味で、時々ではありません。「習」とは、幼鳥が羽を繰り返し、繰り返し羽ばたかせることで飛ぶことを習得することを表しています。人生において、先人の教えを素直に受入れ繰り返し体得することがまず第一だと伝えています。

陰陽について
 自然は、男女、朝夜、と裏表の陰陽が組み合わさり波動(Vibration)となり、構成されています。日本語は自然そのもので一音一音に陰陽の世界、両極端が内在しています。「ま」は「真」であり「魔」でもあり、人の捉え方で善悪の判断は変わります。自然とは受け入れがたく、抗しきれないものであることだと、天災が多い国土に住まう日本人はあきら(明・諦)め感得し、自然に畏怖感を抱き、一端受け止め、創意工夫を加えてきました。

イメージすることが大事
 「冉求曰わく、子の道を説(よろこ)ばざるに非ず。力足らざるなり。子曰わく、力足らざる者は、中道にして廃す。今、女(なんじ)は画(かぎ)れり。」 この章句は、西洋成功哲学の真髄とも一致し、ビジネス成功の鍵、人生の生き方への大きな気づきといえます。画という字に(かぎる)との訓読みを当てはめているのは、日本人の智慧です。潜在意識にカラーで鮮明になるまでイメージする。具体的な画像を持ち、素直に自分の中に落とし込み「為せば成る」で行動し続け、後は良い風にと天意に任せ、起こった結果は受け入れ、創意工夫していくことです。
 一水四見で正解は一つでありません。時代の恣意でのある一面からの解釈による『論語』の誤解が解かれ、温故知新で令和時代に人生をより輝かせ、次代に繋ぐ参考になれば幸いです。彌榮