卓話 2018年11月15日

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国際奉仕 カンボジア支援活動


特定非営利活動法人ジャパンハート
石井 香好 様

 かつてカンボジアという豊かな国がありました。約40年前、ポルポト政権がはじまり4年余りで200万人以上の人々が大量虐殺されました。そのためカンボジアでは医療が崩壊し、未だに国民のカンボジア人医師への不信感や恐怖心は根強く残っていると感じます。
 そんなカンボジアで2009年から活動を開始した特定非営利活動法人ジャパンハート(以下ジャパンハート)は公立病院や各地域のヘルスセンターを間借りして、手術活動や巡回診療を開始しました。
 そこから、さらなる医療活動の充実を目指し、2016年5月に首都プノンペン郊外のウドンという地に病院を開院しました。外科手術と一般診療に加え、ジャパンハートとしては初の取り組みとして周産期診療も立ち上げました。
 2018年8月には病棟を増築し、こども医療センターをオープン。ここでは日本の小児がんの専門医を迎え、カンボジア国内で治療の難しい、小児の腹部固形がん(肝臓、腎臓、副腎などのがん)の治療を開始しています。当院で行う検査や治療は無償で提供しています。さらに、支援の1つとして、生活費の支援も開始しました。
 途上国での小児がん治療成績の悪さは、経済的理由で治療が継続できないことも大きな要因の一つと言われており、治療が6ヶ月〜1年と長期にわたることで、付き添う親が働けず経済的に困窮する家庭が多いためです。
 そんな医療が崩壊しているカンボジアで活動していると、もちろん必要なものはたくさんでてきます。
 必要最小限、こんなものがあったらリスクが減るな、医療の質も上がるし、1人でも多くの患者さんに医療を届けられるなというものをご紹介させていただきます。
 ①救急車及びドクターカー
 ②安全キャビネット
 ③柵付きのベッド
 ④ポータブルX線装置
 ⑤人工呼吸器
 ⑥血液生化学検査機器
 また、必要な項目が不足しており、他の検査機関まで行かなければならず患者に負担がかかっている状況です。
 私たちは日本という豊かな国に生まれました。知識があるという理由で殺されることはありません。血まみれで病院に駆け込んでも、最初に聞かれることはお金のことではありません。どんなにお金がなくても、必要があれば最先端の医療を受けることができます。私たちの当たり前の日常はとても恵まれていることを今一度気づけてもらえたらうれしいです。